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子どもの共生力。

先週の!のわぉ!は、絵本あそび。

異年齢の子どもたちが、3人一組になり、相談しあいながら、絵本を一冊選びます。

その絵本に音をつけ、役割をきめ、発表会をする、というプログラム。

 

いつものように、グループ決めから、準備、グループ決め、発表会の進行、後片付け、子どもたちだけで行いました。

今日も高学年たちが、真剣にグループ分けを考えていたので、幼児の子どもたちも、絵本選びや、楽器選びなど、とてもリラックスした表情で活動できていました。

 

しかし、発表会の時間、ひとりの幼児の男の子の身体が固まって動かなくなりました。

子どもたちがひとり、またひとりと、そのグループに近づき、彼の想いを聴いていきます。「どうしたん?」「出られそう?」「だいじょうぶかな」

しばらく様子を見守っていると、3人で発表する予定だったグループの、彼以外の2人が前にでて、発表をはじめました。

 

感動しました。

状況をみながら、それぞれが自分にできることを考え、すぐ行動していました。

しかも、とても連携がとれていて、寄り添う子、話しかける子、近づかず見守る子。

そのバランスの良さに驚きました。

そして彼の想いを大事にしようと、言葉もとても柔らかく、話していると、彼がぽつりとつぶやきました。「つかれた」「ねむたい」。

その言葉の響きを聞き、彼の表情を見ながら、子どもたちは話し合い、彼の「出ない」という想いを受け入れました。

 

そんな子どもたちの動きを見ながら、子どもたちのいろいろな力が育っていることを再確認できました。

 

 

    いろんな想いの子がいるということが、あらかじめ彼らの中にあったということ

    困っているグループの様子を見て、すぐに数人の高学年が駆け付け、彼の想いを聴いたこと

    彼の気持ちを尊重してあげたいという結論を出したこと

    そして、最終的に、彼のいない方法で、発表をやり遂げた2名の子どもと、その状況を温かく見守る雰囲気であったということ

 

    はきっと子どもたちの多くが持っています。

しかし、②~④は、経験と仲間に対する信頼がなければ、難しいことです。

 

わぉ!の子どもたちがよく言うのは、

「わぉ!の仲間は、家族と友だちの間」

「わぉ!は自分の本音が言える場所」

 

子どもたちは本音を出し合う中で、相手がどんな年齢でも、想いを感じ受け入れることができる器ができてきたのです。

 

劇づくりを、子ども主体で何度も何度も繰り返し行ってきたこと。

劇の本番も、「子どもたちだけでやり遂げる」という経験をしてきたので、さまざまな状況に、即対応できるようになってきたのです。それを証明するかのような一場面でした。

 

大きな社会の変化により、いま、大人たちだけではなく、子どもたちの心も揺れています。

大事な人を失いたくない。大事な時間も失いたくない。そして大事な想いも失いたくない。

そのために自分は何を選択し、どう行動するのか?

ひとりひとり、毎日、必死に考えています。

 

私自身も、この先、子どもたちの何を育てていくべきなのか?

社会がみるみる変わっていく中で、ずっと悩み続けてきました。

 

しかし、わぉ!のひろばで、子どもたちの様子を見ながら、今後子どもたちの培っていくべき力、そのためにやるべきことが、はっきり見えました。

 

相手に寄り添い、相手の想いを感じとる力。

そしてその時自分にできることを考え、行動できる力。

 

社会という集団の中でも、子どもひとりひとりが自立し、周囲の人と共に生きる力を発揮できるよう、指導と見守りを続けていきたいと思っています。